2010年4月22日木曜日

自治体政策のこと

院の授業で迎えている天野巡一先生の『自治のかたち法務のすがた』。なぜか大学図書館にもなくAMAZONでも売り切れ。初めてHMVのネット販売を利用した。

天野先生は現在は大学教授だが、武蔵野市の自治体政治の現場にいた方なので、事例も多く、説得力がある。とにかく興味が沸く。

「NPO、自治体政治」という授業。担当は、学部で「EU地域概論」等をやっていた坪郷先生。先生の「地域ガバナンス」についての論文(雑誌「Governance」)で、「市民の政策能力」が必要という課題が提示されており、驚くと当時に無知を痛感、学ぶ必要性を強く感じた次第。

ちなみに、宗教施設(団体)と地域の関係をふまえ、NPOやボランティア団体との連携ということを考えているので、基礎勉強と現状把握のために受講している。

先週の天野先生の話のポイントのひとつが、地方行政における行政と民間の再編の問題、その前提として、

地方政治を担う
①領域論 (公―私)、
②担い手論 (行政:公務員―民間、企業)、
③手法論 (独占―競争)、

・・・①には目的(公益:安全安心安定―収益:経済効率性)が含まれる。

このような対立関係(この中間にNPOがある)があるわけだが、①~③の関係それぞれが、バラバラに論じられてきたのでは?という問題提起。ちなみに全てを分けずに論じれば手法論になる。

①~③を総合してひとつの政策を検討していくということか。


これに関する事例が、民間が公の領域を担うPFI方式。この方式による刑務所運営の例が、山口県美祢市(「美祢社会復帰促進センター」、「社会復帰サポート美祢株式会社」)他数箇所にある。
そして司法分野にも民間委託は進んでいる(ADR)。

公から私へ領域は移行し、担い手も(公務員+)民間へ。ここに競争原理を持ち込んでいいのかどうか。そして法務上の問題は?

急速に進みつつある現状を認識し、その把握の方法をも鍛えなくては。これに関わる水利権の売買問題も、強く危機感を持ったので注目していきたい。