2012年8月19日日曜日

旧満州 公主嶺神社 (追記)

戦前、私の先祖が奉仕していた、旧満州の公主嶺神社。神奈川大学の海外神社(跡地)に関するデータベースに写真が載っていた。今、この地に行っても、当時の神社を知る手がかりは何もないのだろうと、跡地の写真を見ながら思う。

3年前に書いた「公主嶺神社」についての記事に、コメントをいただいていたのを、今さら発見した。池田宮司の後に就かれた、森安忠宮司様の御子孫の方だった。宮司様はその後、広島の厳島神社などでご活躍されたとのこと。気がかりだったのでとてもうれしく拝読した。

とても失礼なことをしてしまった。あらためて返信を書いたのだけれど、お読みいただけたらと願うばかり。

2012年8月7日火曜日

南三陸町、気仙沼市にて


7月18日~19日、宮城県本吉郡南三陸町および気仙沼市を訪ねた。県の神道青年会主催のプログラム。今後の支援活動の在り方や神社での災害対策を考えるという目的。2日間、宮城県の八幡神社、山内義夫宮司様に御同行いただいた。道中、仮設住宅での生活状況や、震災前後の街や水産業のようすなどレクチャーして頂いた。今回はかなわなかったが、田束山の山頂から、海岸線を見せたかったと、宮司様がしきりにおっしゃっていた。次回はぜひ訪れたい。

宿泊は、避難所にもなった南三陸町「ホテル観洋」。夜には、現地の神職さんたちと懇親会。神社再建の御苦労から、復興計画や支援活動への御意見までいただいた。通常、伺いにくい震災にかかわる質問も気軽に投げかけることができた。貴重な御縁に感謝した。




高台より津波の被害を受けた今泉地区のようす。命からがら逃げたという山内宮司さん。

今泉地区を見渡す高台にある小学校に立つ碑
“「でんでんに逃げよ」その教えを伝えたい”


そして、気仙沼市波路上岩井崎の琴平神社において正式参拝。清原正臣宮司様が、震災当日の生々しい被災体験を語られる。そして普段の神職としての地域の人々との関係づくりや、近隣神社同士の連帯が、復興の過程で重要なはたらきをしていると教えられた。御祈祷のはじめに宮司様みずから奉納された、郷土芸能である法印神楽の太鼓と謡が、心の奥まで深く響いた。







どこかユーモラスな狛犬








琴平神社から徒歩で気仙沼湾へ



南三陸町歌津の町立伊里前小学校にも訪問。広々とした天井の高い木調の校舎内。予想もしてなかった快適で気持ちの良い空間に驚いた。兵藤文隆校長先生より、震災当時の避難状況、被災状況を伺う。そして、38世帯の仮設住宅と2校とが共存する学校の現状について御説明いただく。

 阪神淡路大震災後、数年後に不登校の児童が増えたことに触れ、子供たちをよく観察すること、心のケアについての長期的課題を熱心に話された。スクールバスでの登下校で、寄り道ができないこと、運動不足…。スクールバス到着の校内放送が流れ、校庭で遊んでいた子供たちが、メールの約束をして別れる声にハッとした。子供たちの日常。当時の私の日常を思い出し、重なった。


そして、様々に状況を設定した毎月の徹底的な避難訓練、子供たちへの「ふるさと教育」。地域の大人たちを対象に、郷土史などを学ぶ「たつがね学校」の開校など、復興途中の厳しい状況下で 通常でも困難な試みをされていた。地域コミュニティにおける学校の役割と今後の街づくりを見据えた実践。刺激を受けた。


小学校の麓にある仮設商店街。幟が風ではためいていた。

伊里前小学校校舎

二階のベランダからの風景。校庭の半分に38世帯の仮設住宅が並ぶ

図書室。寄贈の綺麗な本が並ぶ。広くて明るく解放的な小学校の内部に驚き、感心。
 

南三陸町の語り部ガイドさんの御案内で、市街地を視察。そして、今年2月にオープンした仮設商店街「南三陸町さんさん商店街」へ。30店舗の現地業者さんがはいっている。特設会場では、震災を記録したパネル展示も。ガイドさんから写真スライドで震災当日の詳しい解説をいただく。言葉とまなざしから、親しい方々を亡くされた痛みや、震災を風化させまいとする強い御意志が伝わってきた。







点在する仮設住宅地のようすや、海沿いにある各集落の跡地、瓦礫の山、取り壊しを待つ建物から、復旧もまだこれからという印象を抱いた。同時に、現地の固有で豊かな自然、郷土文化と、人々の生活との親密な関わりは、復興の土台や契機となることに気づかされた。そこでの神社の位置づけや機能も再考した。

復興が進む中、表面化しない被災地の方々の生活や心の問題は、多様化し増加していくことと思う。可能な限り現地の方々の声を聞き、できることを模索し続けたい。この地での学びについて、周囲に伝え問題提起すること。実践につながるよう、議論を重ねること、他分野の人たちとも情報交換や連携をすること。現地を「訪問」した者の責任を思う。そして、お世話になった皆様への御恩返しをしたいと思う。


学校の校庭に集められた瓦礫の山




伊里前小学校への坂の途中から見た海、街。線路の高架が壊れたまま残る
職員の方が避難を叫び続けていた防災対策庁舎前。バスが数台止まり、祈りを捧げる人たちの姿が







ところどころにメッセージや千羽鶴など。世界に向けた支援への感謝の言葉も。




いわき市にて 「千度大祓」

7月16日、福島県いわき市のアクアマリン福島にて、東日本大震災「慰霊祭」、復興祈願「千度大祓」が斎行された。

夏の強い日差しと心地よい海風が吹く中、慰霊祭ののち、かがり火の点火、放生式が行われ、そして全国からの神職50名、國學院大学の学生さんたち54名、そして地元福島の、全国からの参列者の方々とともに、大祓詞を十巻、奏上した。

諸々の罪や過ちを祓い清める大祓い… 奏上しながら一瞬、さまざまな思いが込み上げてきて涙腺がゆるんだけれど、心を立て直し、そして無心になって奏上した。詞が祈りになって、福島の大地や海、草木、そして震災で亡くなった方々の魂に届きますようにと。

参進して斎場の丘を下るとき、すーっと静かな気持ちになり、まわりの空気と風景が変わった。

控室で言葉を交わした女性神職さんは、兵庫県からはるばる参加したという。同じ思いをいだき集まって、ひたすらに祈る。共感の場。それを肌で感じた。

震災の年に続き、二度めの開催。呼びかけから準備まで、主催者の方々の御苦労を思うと同時に、このような祈りの場にいられたことに感謝した。第三回、四回…と年毎に開催の意味も変わるのだろう。毎年、変わらぬ思いでこの場にいられますように。



アクアマリン福島、三連休最終日、家族連れでにぎわっていた
神籬や斎場の準備をする主催者の方々