2012年6月26日火曜日

「人の惑星」展


チラシに映る一枚の写真に惹かれ、石川梵さんの写真展、「人の惑星」 を観た。

アフリカのリフトバレー、アラスカの氷河ダイナミックな自然の空撮写真が会場を取り囲み、人類が生きるフィールドの広大さと限界を意識する。そのフィールドで人は祈る。フィリピン、インド、ケニア…そして日本、。世界各地での祈りの姿を映した多数の写真が並び、品川のビルの一角に、どこか特別な神聖な空間を創り出していた。

ケニアのある村での若者のイニシエーションの儀式、人々が神憑り、トランス状態に陥る祭り土着の信仰の激しさに圧倒された。神の宿る、神に近づく大地へと身も魂も捧げているような。このフィールドに存在を刻み付けているような。

昨年訪れた北インド、ラダックの祭りの写真にも釘付けになった。舌を切り落とさんばかりの僧を前に恐れおののく人々、祭りの熱気。人気ない僧院をめぐるだけではまるで見えてなかった、あの土地の宗教―。

なにより、アンデスの聖なる山アウサンガテ(標高6300超!)を登るペルーの女性たちが、強烈に印象に残っている。鮮やかな民族衣装を身にまとい、危険な氷 山を素足にサンダルで登り、祈りをささげる。高いところに登るほど、願いがかなうという。それゆえに死者が後を絶たない、命がけの祈り。儀式を見守り、涙を流す女性の横顔に吸い寄せられた。

この惑星のなかで、自然、大地、村の共同体、他者と私とを深く結びつけるのは、物理的な距離も 生死の境界をも超えたスピリチュアルな、究極に肉体的な祈りの部分だと、彼らは教えてくれる。私は何てさらりとした信仰の下で生きているのだろう。 
  
石川さんの視野と活動範囲の広さには驚嘆する。空撮、そしてフィリピン、レンバダ島のクジラ漁の撮影では、クジラの声を聴くために海にもぐる。観る側も、ダイナミックな地球の動きと現実への、同時間的にさまざまに生きる人々へのイマジネーションを掻き立てられる。





品川 キャノンギャラリー

石川梵さんのブログより写真展のようす  
http://lamafa.blog38.fc2.com/blog-entry-107.html


著書・写真集 (の一部)





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