2009年3月25日水曜日

植田正治写真美術館

3月20日。
新横浜から新幹線で岡山、さらに特急いずもに乗り換え米子へ。7時間ほどかかった。
到着後すぐ、植田正治写真美術館へ向かう。米子駅からタクシーで約20分、伯耆富士とよばれる大山の麓にある。

鳥取県の境港出身の写真家、植田正治さん。彼の作品は最近知ったのだけれど、すぐに好きになった。砂丘を舞台に人間がポーズをとる、映画の一場面のような演出的な写真。植田さん自身や家族が登場する写真もあり、穏やかな気持ちになる。

リアリズムを追求する土門拳とは、方法は正反対であるが交流があって、砂丘で写真を撮りあったり、お互いを認め合っていた、という逸話が、館内の説明にあった。

特別展では、「旅する写真―ヨーロッパ、アメリカ、中国にて―」と題し、1972年のヨーロッパ旅行をきっかけに、山陰から飛び出した彼が、海外で撮った街や風景、人々の写真が特集されていた。演出的な感じが薄くなっていたが、色彩の美しさや構図の面白さに、ため息が出てしまった。

「ヨーロッパの風土は山陰に似ていた」と、親しみを感じながらも、対象の新鮮さに心を躍らせて撮り続けたとあったが、その感じが良く伝わってきた。

旅先での風景や街も人間も、新鮮さが慣れに変わり、自然と見過ごしてしまうことが多い。そんな何気ない街の細部をピックアップする、写真家の視覚の敏感さに驚く。二次元的な構図と同時に、対象の光と影を瞬時にキャッチして、シャッターを切るのだから。もちろん対象の発見やそれへの興味は、外面的なものだけではなく、感性にもかかわるのだろう。


美術館の建物は、島根県出身の建築家、高松伸さんの作品である。
外装は汚れが目立ち始めているものの、館内はシンプルで広く、開放感があった。建築の効果で大山が、単なる風景でなく演出的に館に取り込まれている。その土地固有の自然を取り込んだ建築物はそのものが作品になる。都心を離れた美術館の良さだと思う。





帰りは最寄の岸本駅まで2キロほど歩く。電車が1時間に一本程度で、周囲に店もないので、無人駅で読書をしながら電車を待つ。






道中、菜の花畑が広がっていた。






菜の花、菜の花、菜の花、、、。





米子に戻り、さらに境港へ。こちらは水木しげるロードなどがある。
そして美保関へ。日本海、ようやく海に出た。

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