2009年10月4日日曜日

ミヒャエル・ゾーヴァ展

ミヒャエル・ゾーヴァ展
波がうねる重厚な海も、よく目を凝らすと船に乗っているのが女性とゴリラだったりする。思わず微笑んでしまうというより、その皮肉っぽさに、ニヤリと笑ってしまう。登場する動物たちも人間も、のどかで可愛いのではなく、ユーモアや皮肉、哀しみまでもが漂っている。動物の喜怒哀楽の細かいところまで摑んで、注入しているんじゃないかと思う。筆の緻密さだけではない、繊細さを感じた。

そんな彼の絵が、絵本の挿絵になり、世界の子供たちが読む。大人向けの絵本というわけでもない。子供は、大人たちが思うよりずっと、他人の表情にも敏感だし、深い部分を感じ取っているんじゃないだろうか。それを前提に、子供をナメずに、複雑な心情、心の機微をも高い技術で表現する。大人対象の仕事と同様に、もしくはそれ以上に、全能力を注ぐ。相手を尊重している。そういう芸術家や作家をすごいと思う。人間の本質的な部分が見えているんじゃないかと思う。真剣に子供と向き合うお母さんたちも、違った角度からそういえる。

彼はかつて、ドイツ、緑の党のポスターも手がけていたようで、一連のポスター作品も面白かった。原書の絵本が欲しかったけれど、高額で断念。絵葉書2枚を購入。アクリル絵の具を使用しているらしい。油絵にも水彩画にもない程よい感じがあった。使ったことがないので試してみよう。



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