2009年5月9日土曜日

國學院大學 伝統リサーチセンター資料館

「神道史学」の授業の一環で、大学の「伝統リサーチセンター資料館」を見学した。「神社管理概論」で授業を受けている加瀬直弥先生が、展示物を丁寧に解説してくださった。加瀬先生は神道史専門のようで自身の見解も付け加えながらの解説はとても興味深く勉強になった。

まず印象に残ったのが、「熊野那智参詣曼荼羅」。熊野学のHP(図と表で見る熊野信仰)によると、熊野那智参詣曼荼羅は全国に31あるという。そのうち2本が國學院大學蔵である。教化活動の跡が残る中央の折り目がリアルだ。美しい曼荼羅なのだが美術品ではなくて信仰を広める道具的な役割をしていたのがおもしろい。

それから「春の祭り 初夏の祭り」というテーマ展示での、日光東照宮祭礼絵巻。幼少期、東照宮近辺に住んでいたので、毎年の千人行列は楽しみな祭りだった。その祭りの様子が描かれている江戸期の絵巻。琵琶湖上に神輿が積まれた船が登場する日吉大社の山王祭の絵巻も土地柄が出ていて興味深かった。

埼玉の某神社の神輿は一月がかりで住民の手により完成させるという。展示物は一昨年の神輿の模型だそうで、若者のアイデアであるピノキオのモチーフが取り込まれ、新しさと伝統のせめぎあいが表れている。多くの例において祭りが断絶を経たのち、決してたやすく復興、継続していたわけではなく、その背景には地域住民の経済的負担や強い願いがあったことを知る。住民のエネルギーや知恵が時代を超えて祭りを継続させていく。

等資料館は近年、完成した。神饌の種類も分かりやすく解説され、そのほか神道に関わる資料が豊富で、教科書を読むより興味深く学べる。考古遺物も充実している。数年前、古くて狭い考古資料館に並べられていた遺物が、効果的に展示されている。

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