2009年9月21日月曜日

アンリ・リヴィエール展

神奈川近代美術館の葉山館で催されているアンリ・リヴィエール展

フランスの浮世絵、ジャポニズムと聞いて、さっそく観にいってきた。今年に入り興味を持っていた文学のジャポニズムと同様、馬淵明子「ジャポニズムー幻想の日本」を読んで以来、絵画のジャポニズムも実際見てみたかった。

アンリ・リヴィエール(1864-1951)は、19世紀末フランス美術界でブームになったジャポニスムに影響を受けた画家・版画家。北斎や広重 らの浮世絵から、色彩や構図、表現技法を学んだという。リヴィエールは、美術史上、木版画の復興と多色リトグ ラフの開発に貢献しているそうだ。

リヴィエールの作品に並んで、構図が似ている北斎の作品も展示していて、そのため影響がすんなり見て取れる。エッフェル塔の建設過程を描いた、リヴィエールの『エッフェル塔三十六景』ともに、もとになっている自身、撮影した写真、それから北斎の『冨嶽三十六景』が展示してあるといったぐあいに。さらにはリヴィエールに影響を受けた、あるいは共通点があるという日本の版画家の作品も展示されていて抜かりがない。

対象がフランスの自然、田舎の風景だったせいか、色彩が心なし淡いせいか、日本の浮世絵よりも牧歌的で穏やかな雰囲気だった。並べてみると、日本の浮世絵の方が緻密で繊細、リヴィエールの版画の方がおおらかな感じがした。影絵とリトグラフで表現された、夜の海、星空がとくに美しかった。

彼は、「シャ・ノワール」というカフェで、ジャポニズムに出会う。当時、シャ・ノワールには芸術家や文化人、知識人らが出入りし、政治談議や芸術家達の新しい作品発表の場にもなっていた。そして、シャ・ノワールの主人、サリが文芸雑誌「シャ・ノワール」を創刊しており、リヴィエールは編集に携わることになったという。猫の絵が描かれたリヴィエール作のシャ・ノワールのポスターも魅力的。カフェで上映し、話題を呼んだという影絵劇も展示、上映されていて、美術館全体の演出がとても良かった。

それにしても、客が談義し、芸術家が集い表現をする、当時のカフェのような場は魅力的だし、羨ましい。

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