2009年7月6日月曜日

「円空 12万体の仏の願い」

撮っておいてもらった、NHKプレミアム8の「円空 12万体の仏の願い」を観た。知らなかった円空の壮絶な修行人生や、作風の変化、木、仏像に託した願い等々どのトピックも興味深くて、充実した内容だった。

ドキュメンタリーのなかで印象に残ったのが、「廻り仏」という村の風習だ。円空は後年、彫った仏像を寺ではなく村人に託していった。岐阜県七宋町の部落では、世帯ごと1ヶ月交代で、円空の地蔵菩薩像を一ヶ月交代で「お世話」する。300年以上変わらぬ風習だという。仏像は赤い帽子をかぶり手作りの布地で装飾が施されていた。掘った筍を供え子供が生まれると干支と性別を仏像の装飾品?に書いて報告する。

一ヶ月経つと次の家に一家で運ぶ。家の主が仏像を抱きかかえ、「頼むで~」と言って大切に手渡していた。移動の晩には、次の家に若者から老人まで村の全世帯が集まり念仏をあげる。「この部落ではお守りや」と村の人たちは口々に言っていた。

円空の仏像は600箇所の民家に存在すると言われている。多くの庶民の救済を願って彫り続けた円空の信仰のありようが伺える。同時に、託された村々では人々の継続的な結束を生み出している、仏像の力と人々の祈りや願いの強さが生んだ時間を越えた人間と仏(神)との関係、共同体の結びつきを感じた。

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